この話が成立する迄には長い長い紆余曲折がありその結果この話になります。
本当に離島で老夫婦が生活する事の難しさをここにご紹介致します。
始まりは弊社のホームページを見て電話を頂き、アンテナを売って下さいとの事。
アンテナは「BSアンテナですか?地デジ用ですか?」「地デジ」との事。
アンテナには利得と言うものがあって送信アンテナが遠いと利得の大きい物が必要となる為「アンテナは市内に立てますか?」と聞くと「いいえ、○○島だ」との事。
「誰が立てるんですか?」と聞くと自分が立てるとの事。
「それは無理でしょう。」島には電気屋さんはないのかと尋ねると前は有ったが今は老齢で
やっていない。松山市内の電気屋さんは何処も来てくれない。
正月には娘や孫が帰るのでテレビが見えないと孫に怒られるので自分が取り付けるから
売るだけ売って欲しいとの事。
「70歳を越えての高所は気を付けて下さい」と言う事でアンテナを送りましたが一抹の
不安は残りました。これが12月25日でなければ何とか出来たかと思いますが年内は私達もいっぱいの仕事を持っている為この様な対応となりました。
翌26日「アンテナは昨日着いた。早速やっているけど上手く行かないので電話で説明
してくれたら私がその通りやります」との事。
1時間以上色々やってみましたが相手の手元が見える事もなく、測定器もなく
このやり方には限度が有りました。
お正月と言うイベントが控えている為お客様の諦め切れない気持ちも良く分りますが
私達も29日が仕事納めとなっている為皆一生懸命でとても丸一日を削り行ってくれなど
言える訳もなく私は本当に困って、とにかくお客様には時間を下さいと言う事で15~6人
の社員で仕事の遣り繰りをし社長と社員の1名の計2名で12月28日島に渡りました。
港に着くとお客様御夫婦で迎えに来てくれていました。
現場に着いて30分後に「○○ちゃん、誰が来とるん?」
お客様「電気屋さん」 どうも近所の奥さんらしい。
すると「そうじゃろう、車を見た時そう思ったんで急いできたんよ!」
「あんたとこ終わったらうちも見てもらってや」との事。
お客様曰く「この島は前には電気屋さんも小さな雑貨屋さんなども有った」との事。
「今皆年取ったので無くなった。若い人が居る所はいいが私達の様に年寄りだけになると
生活そのものが出来ませない。」
電気製品の故障なんかは何処に言うても来てくれない。
お金を出しても来てくれない。仕方ないから買替になる。
又出来る物は自分で何とかしようとする。この前も○○で買ったテレビのリモコンが動かなくなったので新しいリモコンを買った。家に帰ってやってみたらやっぱり動かないので後日○○に行って動かない事を伝えたらこれで動かないのはテレビが壊れているので2Fに行ってテレビを買って下さいとの事。
リモコンを持って行ってるのに見ようともしないでテレビを売りつけ様とする。
それで奥さんが怒って「テレビはお宅で買ってまだ4年です。お父さん帰りましょ」
と言って何も出来ないまま帰ったとの事でした。
工事が終わったら、そのリモコンも見ますので出しておいて下さいと言う事で工事に
かかり、帰りの船の時間もありますので昼食抜きで頑張りPM4:00過ぎに工事は
終わりチャンネル設定の時先程のリモコンを見てみました。
動かない原因は電池でした。
お客様の所には電池は買い置きをしているそうで全部袋ごと出して頂きテスターで
測った所更に2個不良電池が入っていたのでそれも捨てる様、又替えた古い電池はその時に捨てて下さいと説明して帰りました。
お客様は「綺麗に見える様になり誠に有難う御座いました。」
「テレビがこんなに綺麗に見えるなんて知らんかった」とは奥様の言葉でした。
「これでいいお正月が出来ます。本当に有難う御座いました。」
港迄見送って頂き2人分のお土産まで頂き帰りましたが本当に離島の生活の厳しさ
又御高齢者への対応には本当に考えさせられる一日でした。
そのおみやげは松山市で売っている高級なお菓子でした。
これは私達の為に前もって送らせた物だろうと思いました。
最後にお金は払いますから何か有ったら必ず来て下さいと言った言葉
妙に考えさせられたのは何故でしょう・・・・・