ここで言う百舌鳥とは野鳥の「もず」のことです。
私は田舎育ちで有り、山里に有った私の家の近くには何本かの柿の木が有り
そこにはいろんな野鳥が来ていました。
そして又近くの木々には昆虫や
蛙のミイラ化したものが小枝に
刺さっていました。
子供心にこれは何だろうと思い父に聞くと父はこれは百舌鳥の仕業だと
教えてくれました。
そんな事が有ってから注意して木々を見る様に成り、
有る年やっぱり小枝に蝮が刺さっているのを見付け、父にこれも
百舌鳥の仕業かと聞くとこんな事をするのは、いやこんな事が出来るのは
百舌鳥しかいないと思うとの事でした。
こんなに長く大きな物をあの小さな鳥がよく運んだものだと思い、それからはこの百舌鳥と言う鳥が好きになりました。
あの毒ヘビの蝮でさえ恐れる事なく攻撃し、自分の餌としてしまうこの鳥を
誇りにさえ思う様になりました。
小学校5年生の私にはそれほど大きな出来事でした。
それから毎年9月半になるとあの甲高いキーキーと言う鳴き声が
待ち遠しく思えました。
又この鳥は本当に正確な鳥で9月末から10月5日位迄に必ず鳴いていました。
一週間と狂わなかったと記憶しています。
又この甲高くキーキーと鳴くのはメス鳥との事。
鳴く場所は見晴らしの良い場所の一番高い木の天辺で鳴くとの事で
私の時も私の家の裏の大きな柿の木の天辺で鳴いていました。
それから60年余り百舌鳥の声など聞いた事もなかった。
それが今年10月1日AM9:40分頃あのキーキーと言う甲高い声を聞き、
私は咄嗟にアッ百舌鳥だ!!と思い表に飛び出しました。
声の方向を見るとあの均整の取れた凛々しい姿のメス鳥が
長い尻尾をピーンピンと振りながら勇ましくキャキャキーと鳴いていました。
四階建ての小学校の屋上にあるポールの天辺でした。
私は60年も行方不明になっていた自分の子供に出会えた様な嬉しい気持ちが
込上げ涙が出る程感動しました。
又来年の来訪を期待し久々の感動に心からのお礼を言います。ありがとう!!
諸説
百舌鳥(もず)とは田舎者古くは「日本書記」に百舌鳥と有る。
又百に及ぶ他の鳥の鳴き声の鳴き真似が出来るとも言われる。
又又、秋の季語にもなっている野鳥です。